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富岡史棋の日々のアイデアとその記録 

2009.12.06[日] HIKESHI ピースアド 「戦争は永久に謹んでおことわりします」

戦争を予防する HIKESHI のピースアド制作案件【その1】です。(【その2】もご覧ください)


「戦争を予防するって何?」「HIKESHIって何?」「ピースアドって何?」という声がきこえてきそうです。
↓以下、説明です。HIKESHIピースアド展案内文より転載。


「ピースアドとは、プロパガンダ(戦争煽動)の毒消しや予防をする、平和構築が目的の広告のこと。HIKESHI(火消し)とは戦争の火を消す人のこと。HIKESHIクリエーターとは、クリエイティブの力で戦争の火を消すピースアドを制作するコピーライターやアートディレクターのこと。
 今回、東京外国語大学に学ぶ、紛争当事国からの留学生と、日本を代表するアートディレクターが力を合わせて、習作としてのピースアド15点を制作しました。平和構築のために、世界の戦争の火を消すために、クリエイティブがその真価を発揮します。国を越えてつながる人の心の灯を、世界が直面している炎を、クリエイティブの閃光を、目撃してください。お待ちしております。
 ピースアド展は、文部科学省 大学院教育改革支援プログラム 東京外国語大学平和構築・紛争予防修士英語プログラムの一環です。博報堂、電通のご協力を得て開催しています。」

↑転載ここまで。

「そうなのか? そんなことができるのか?」「よく分からないからやってみよう」ということで、2009年よりわたしは、HIKESHIクリエイター兼事務局として関わっています。今はそういう流れの中にいるようです。




●テーマ:憲法9条

東京外国語大学大学院総合国際学研究科国際協力専攻平和構築・紛争予防(PCS)専修コースの学生の中で、わたしがごいっしょしたのは、木村真紀葉さん。クラスの中で数少ない日本人です。彼女のピースアドのテーマは「憲法9条」。そして、2010年5月18日に施行される「国民投票法」(日本国憲法の改正手続に関する法律)もテーマに含みたいということでした。つまり、この憲法改正の動きがある状況に、不安を感じているのです。でもそれは、彼女だけではないはずです。わたしにもあなたにも関係のあること。わたしもあなたも当事者。さあ、このピースアドで、誰に何を伝えましょうか?




●できあがったピースアド


●A1ポスター (新作、クリックで拡大表示)

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(人形製作:榊原美樹、井戸原美帆)

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(人形製作:亀岡亜希子)

ピースアドに掲載した上記の人形の他に「コックさん」「フラダンサー」「木」がありまして
きちんと写真撮影した後に、これらの人形でもピースアドをつくりたいと思います。
撮影時期未定ですが、次回のピースアド展までには済ませます。




●ポストカード試作 (ここだけの公開、クリックで拡大表示)

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(人形製作:亀岡亜希子)



●ポストカード・その1

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↑少しでも現実の世界につなげるために、ピースアド展の会場で配布。
中央のロゴは日本語版と英語版の2種。クラフト紙。ロゴ部分はシルクスクリーン手刷り。わたしはプリントゴッコのインクを愛用しています。



●ポストカード・その2 (クリックで拡大表示)

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↑ 2009年12月、HIKESHI公認グッズとして誕生。中央のロゴは日本語版と英語版あり。
これもロゴ部分はわたしの手刷り。実物をご覧になると、ロゴが金色にかがやいているのが分かります。質感は大事です。
2010年販売予定。詳細決まりましたらお知らせします。お待ちください。


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●ロゴマーク (日本語版と英語版。クリックで拡大表示)


   okotowari_logo_j.jpg    okotowari_logo_e.jpg





●展示会場風景 2009年11月(月)~11月20日(金) 世界銀行情報センター (PIC東京) 1階ロビー (クリックで拡大表示)

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↑世界銀行情報センター1FのPIC東京が会場です。

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↑ちょうどいい具合に、本棚の上が展示場所になりました。

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↑人間も動物も植物も、みなお辞儀して、戦争をおことわりしています。

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↑いろんな国民、「コックさん」と「フラダンサー」とその奥の「パンクおにいさん」も。

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↑「木」が自然界、植物代表で登場してくれました。戦争による環境破壊もおことわりします。




●アイデアメモとスケッチ (クリックで拡大表示)

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↑初期アイデア。憲法9条を象徴する【戦争】【永久】【放棄】という3つのことばをみせたかった。
でも、それだけだと「だから何?」って感じで、ひっかからない。ということで、ふりだしに戻る。

                    ↓↓↓

この間に、HIKESHIトークセッションという催しがあり、憲法9条に関する伊勢崎さんのおはなしをうかがって、さらに悩む。

                    ↓↓↓

そして、マエキタさんの「【放棄】じゃなくて【謹む】なんじゃないの?」というつぶやきからヒントをえる。

                    ↓↓↓


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↑「謹む」ということばからアイデアが生まれました。「これでつくってみよう」

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↑ポスターのラフスケッチ。日本語版ロゴ。

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↑ポスターのラフスケッチ。英語版ロゴ。

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↑展示デザイン案スケッチ。



【放棄・抛棄】
  1 なげすてること。すておくこと。
  2 自分の権利・利権を使わずに喪失させること。「戦争の─」

【慎む・謹む】
「包む」と同源。自分の身を包み引きしめるの意。
  1 用心する。あやまちがないようにする。
  2 うやうやしくかしこまる。
  3 物忌みする。謹慎する。
  4 度を越さないようにひかえめにする。大事をとる。

うやうやしい【恭しい】
  礼儀正しい。礼儀にかなって丁重である。
  「─・く頭をさげる」

                  広辞苑第三版より



●お辞儀とおことわり人形


おことわり人形
謹んでことわる様から「お辞儀」につながりました。 「お辞儀は相手への敬意を表し(中略)自分の首を差し出して、相手に対して敵意がないことを表現したことに由来するといわれます」(日本文化いろは事典「お辞儀と握手」より転載) というような姿から、座礼で最敬礼する「おことわり人形」が生まれました。 この人形は、現代版・福助人形ともいわれ、幸福を招くとされる縁起人形として、広く国民に愛されているという噂です。

人形製作:榊原美樹、井戸原美帆、亀岡亜希子、出口かずみ、加藤美佳子


No Thank You Doll
Bowing is a Japanese gesture for sincere declination. “Bowing is a representation of respect for others and (snip) this derives from Japanese old custom to show the absence of hostility toward other persons, holding the neck forward” (cited from Japanese Cultural IROHA encyclopedia, bowing and shaking hands). The gesture of bowing inspired us to make “No thank You Doll”, who makes profound sitting bow. This doll is a present version of “Hukusuke Doll” (which is a Japanese traditional doll of fortune) and maybe will be loved by people, inviting happiness for us as a symbol of fortune.

Doll making: Miki Sakakibara, Miho Idohara, Akiko Kameoka, Kazumi Deguchi, Mikako Katoh



【お辞儀】
  1 頭をさげて敬礼すること。
  2 辞退。遠慮。

【敬礼】
  1 敬意を表して礼をすること。
  2 うやまうこと。

【福助】
  1 幸福招来の縁起人形。背が低く、頭が異常に大きい男性人形。
   チョンマゲに結わい上下(かみしも)をつけて正座する。福の神。

                  広辞苑第三版より



↓人形製作に協力してくれた仲間のスケッチと製作途中の写真

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おことわり人形の製作期間は、2週間程しかなかったのです。「どうしよう、たすけてー」って感じで「神沢利子展プロジェクト実行委員会」で活躍してくれたクリエイター仲間5人に声をかけたら、5人全員から「OK」「面白そう」と返事をいただきました。こういうノリは精神的にも救われます。早速、井の頭公園や三鷹周辺のファミレスで会って「どんな人をつくろうか?」とアイデア出しをしました。それで、はじめは国民投票法対象者だけをつくる予定だったのが、「ネコ(ペットや動物も戦争被害にあう)とか、木(戦争は自然環境を破壊する)はどう?」なんてアイデアが出たりして、結局「戦争で傷つく生きもの全てを対象にしよう」という展開になりました。わたしひとりで考えていては、そうはならなかったでしょう。柔軟な生身のやりとりはありがたい。ほんとに感謝です。
そして、時間の無い中、ピースアド用に人形を撮影してくれた川島浩之さん(舞踊家撮影専門のカメラマン)にも感謝します。みなさん、ありがとうございました。


協力してくれた仲間のサイトです

亀岡亜希子さんのサイト
出口かずみさんのサイト
加藤美佳子さんのサイト
井戸原美帆さんのサイト (公開準備中です)


(「3人くらい寄り添ってわらってる子ども (=何気ない日常の平和)」とか「自衛隊員」とか「政治家」とかもつくってみたい)



●Concept from Planner


これまで憲法9条は、わたしたちの平和を支えてきました。 そして、“憲法改正のための国民投票法”が施行される2010年5月からは、今度は、わたしたち自身が、憲法9条とわたしたちの平和を支えていかなければいけないのです。
あなたの意志で、戦争をおことわり!
あなたとわたし、ひとりひとりの意思表示が必要です。
“わたしたちは、謹んで戦争を永久におことわりします”

In the past, the Article 9 of the Constitution has supported our peace in my country. And, since May 2010, when “the National Referendum Law for the Amendment of the Constitution” will go into effect, it is we who have to support our Article 9 and peace.
With your intention, let’s decline war!
From now on, it is necessary to express your opinion.
“We will sincerely decline any war forever.”




●Concept from designer


先ず、憲法9条の内容をどのくらいの人が知っているのだろうか?
同じく、国民投票法のことをどのくらいの人が知っているのか? (恥ずかしながら、わたしもよく知りませんでした)
そして、テーマを立てた真紀葉さんの「9条はどうなるんだろう?」という不安な気持ちをどうしよう? とか

護憲派と改憲派は、それぞれ何を主張しているんだろう?

そもそも憲法の成り立ちはどんなだったんだろう?
憲法って何だろう? とか

じゃあ、一体このピースアドで何を伝えられるだろう?
何ができるんだろう? とか

いろいろ考えた末
いろいろ過ぎるので、肩の力を抜いて自分たちが立っている場所をみることにしました。


--------------------------------------------------
・ポジティブアプローチでいく
・等身大でいく
・個人的感覚を大切にする(最大公約数でなくていい)
・リアリティ(現実感・真実性・迫真性)を大切にする
・当事者意識、無関係、無関心では済まないこと
・現実的(実際に何ができるか)であること
・可能性を信じる
・あきらめない
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少し脱線するようで、そうではなくて
・ユーモアがあること
・わらいがあること
--------------------------------------------------
こういう気持ちで伝えよう。


わたしたちにできること。それは「意思表示」。意思表示するためには、自分で考えなければならない。たとえば、ルワンダ紛争の大量虐殺についてはYouTubeでいろんな動画があり、それを観るとプロパガンダの恐ろしさを知ることができるだろう。「これはプロパガンダであり間違っている」と、ツチ族をかくまった勇敢なフツ族の人間と、みんながやっているからと人殺しをして刑務所に捕らえられている、自分では何も判断力がないような無表情な目をした者たちの対比が印象に残りました。

考えない者の目、死んだ目。
そうじゃない、自分で考えて意思表示できる、生きた目をしたわたし、あなた、わたしたち。
「意思表示」ができれば、それは「動く(行動する)」ことにつながる。
いやすでに、動いたことになるかもしれない。



     結局、このピースアドの制作経験を通して、わたしがやりたかったこと(または、みちびかれたこと)は
     「対立しない在り方」をしめすことだったんじゃないかと思います。

     それは、現実的には、そう簡単なことではないかもしれませんが、希望です。




Ms. Makiha Kimura, who addressed this theme and is an ordinary Japanese girl in her early 20s, looked pressed for me. The reason of her concern is the implementation of the “National Referendum Law for the Amendment of the Constitution”, which has a potential to take off peaceful days around us, formerly protected by the Article 9 invisibly.  And then I wondered the symbolic words of the Article 9, like “War”,” Forever”, and “Renounce.” As For “Renounce”, seeing the word in our mind and examining the action the word really means, Ms. Miyako Maekita suggested to me like that: “Doesn’t it mean ‘declining sincerely’ (Tsutsushimu)?”Based on the opinions of Makiha and Miyako, I developed the idea and finally reached in this Peace AD, with careful consideration of Reality (Sense for the real and credibility) and suitable way for Makiha’s life-size expression. Thanks to Makiha and Miyako.




以上です。最後までご覧くださいまして、ありがとうございます。まだまだまだまだです、憲法については学ぶことがたくさんあります。

補足:このHIKESHIピースアド展には、さまざまな紛争や社会問題がとりあげられています。
2009年開催時の例:「軍事費」「ロシアのネオナチ」「ボランティア参加呼びかけ」「日本の貧困」「イランの麻薬」「イラクのDV」「コロンビアの地雷」「ガテマラの言語多様性」「イラクの分割」「ネパールの密猟」「インドネシアの多民族性」「核兵器」「アフリカの障害者教育支援」など、多岐にわたっています。世界は、いろんな当事者意識、いろんなリアリティが渦巻いています。ピースアドのテーマを企画した人と、それを、コピーやデザインでかたちにする人。そして、かたちになったピースアドを受けとる人。ひとりだけじゃないいろんな思いが交差し、つながりを生みます。

つくるだけで終わるゴーストアドではなく、現実世界につながるリアルアドへ、ゆっくりとでも始動します。

このような経験と実践の場である、HIKESHIピースアドの取り組みをみなさんに先ず知っていただくために、HIKESHIウェブサイトではこれからも情報発信していく予定です。賛同、協力していただける方をいつでも募集中です。HIKESHIウェブサイトのお問い合わせフォームからご連絡ください。よろしくお願いします。



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追記:HIKESHIグッズ、Tシャツとパーカーになりました。Jazz HIKESHI 会場で販売中。

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